NISAよりつみたてNISAを勧める理由
昨年、老後2,000万円問題が顕在化したように、老後に備えた資産運用に注目が集まっています。実は、今年、つみたてNISAを始めました。昨年までは通常のNISAを利用していたのですが、今年からつみたてNISAに切り替えました。その理由を説明していきたいと思います。
Contents
つみたてNISAとは
つみたてNISAとは、本来、課税される投資から得られる分配金や譲渡益について、非課税になる制度です。NISAも同じく、分配金や譲渡益が非課税となる制度ですが、その金額や非課税機関が異なります。
つみたてNISA | (一般)NISA | |
非課税投資枠 | 毎年40万円 | 毎年120万円 |
非課税期間 | 最長20年 | 最長5年 |
投資可能期間 | 2018年~2037年 | 2014年~2023年 |
投資対象商品 | 金融庁の指定した販売手数料の安く、長期積み立てに適した投資信託 | 株、投資信託、ETFなどすべての金融商品 |
つみたてNISAといわゆる一般NISAを比較すると、非課税期間や毎年の非課税投資枠が異なります。
正直、つみたてNISAの非課税投資枠40万円は、少ないと感じました。もっと多く金額を投資したいし、非課税金額が大きい一般NISAのほうが魅力的にうつりました。実際、昨年までは一般NISAを利用していました。
ですが、今年からつみたてNISAに乗り換えました。その理由を述べていきます。
つみたてNISAに乗り換えた理由
非課税期間が長い
つみたてNISAでは非課税期間が長く、20年となっています。
投資というのは、期間が長くなればなるほど、負ける、すなわち、損失を被る可能性が低くなり、ある統計では15年以上投資すると、負ける確率がほとんどなくなる、とまで言われています。詳しい統計については省きますが、投資期間は長い方がよいのです。
そういう意味において、非課税期間が長いため、(一般)NISAよりつみたてNISAのほうが優位性があると考えました。
投資についてはおのおののスタンスがあるため、短期での利益を求める方には、きっと(一般)NISAのほうが魅力的にうつるかもしれませんが、老後資金確保を目的とされている方にとっては、つみたてNISAを勧めます。
購入できる商品が限られている
つみたてNISAでは、一般の株式を購入することはできません。また、リスクが大きく、長期投資に向かない投資信託についても、つみたてNISA対象商品とはなっていません。
金融庁が認めた基準を満たす必要があります。2020年11月現在、金融庁は以下の項目が基準として挙げられています。
- 販売手数料はゼロ(ノーロード)
- 信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
- 顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
- 信託契約期間が無期限または20年以上であること
- 分配頻度が毎月でないこと
- ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
金融庁のページより引用しております。
『自分の好きな商品を購入できないではないか!』との意見もいあるでしょうが、逆に、安心できる商品に対してお墨付きを与えているともいえるのではないでしょうか。
投資信託といえば、銀行窓口などで購入すると非常に手数料が高く、商品によっては利回りが手数料を下回り、いわゆる『手数料負け』することもあります。
そんななか、つみたNISA対象商品は、非常に手数料が安く、手数料負けしづらいものになっています。つまり損しづらいです。
投資商品というの損失を被ることもあるため、わずかな手数料も商品選びでは大切な要因となり、少しでも手数料が安い商品を選ぶべきです。
つみたてNISAでは損しづらい商品を選ぶようになっているのが特徴で、つみたてNISAが安心できる要因となっていると言えるでしょう。
投資マインドを養える
最後に、そして、一番いいメリットだと思うのが、この「投資マインドを養える」だと、個人的には思っています。
つみたてNISAを始める前までは、個別株を物色し、その価格変動に一喜一憂していました。NISAでは、損失は出しませんでしたが、ある程度、株価が上昇したところで、売ってしまい、一時的には利益を上げることができました。
しかし、一時的/短期的には利益を上げることができたが、果たして、『資産形成』寄与したのか?と自問しました。親族には、NISAを利用したにも関わらず、損失を出して、非課税制度を全く生かせていない人もいました。
『投資とは何か?』をほとんど理解していなかった思います。ギャンブルと投資の区別がつかないまま、ずっと株式投資を行っていたと思います。
今年、つみたてNISAに切り替えてよかったと思います。その理由は『投資とは何か』について気づきがあったからです。
投資の鉄則は、
- 長期投資
- 積立投資
- 分散投資
の3つです。
知ってましたか? なんとなく知っていたつもりですが、実践できていませんでした。つみたてNISAを初めてこの鉄則を意識し、かつ、実践し始めたところです。
当たり前の原則だと思うのですが、目の前の利益や損失を見ると、この原則を維持できなっている人がほとんどだと思います。
個人投資家のほとんどが負けてしまう、みたいなことを耳にしますが、その原因は当たり前の原則を実践できないからではないでしょうか。
そういう意味ではつみたてNISAを始めて、改めて、投資の原則に気づき、投資マインドを養うことができるのではないでしょうか。
つみたてNISAを始めるには?
証券口座開設
つみたてNISAを始めるには、まずは、証券口座を開設してください。
おすすめは、SBI証券や楽天証券などのネット証券です。
スマホやPCがあれば、アクセスでき、ネット上で商品の購入や積立設定ができ、便利です。
つみたてNISAの申し込み
口座を開設したら、次に、つみたてNISA口座を作る必要があります。これには申し込み手続きがさらに必要で、通常、申し込み後、証券会社から書類が郵送され、書面に署名を記入後、郵送で、返送するような手続きが必要となります。
郵送手続きが必要なことから、申し込みから、NISA口座開設まで、2週間~1か月くらいかかるのではなかと思います。少し時間がかかることは覚悟しておてください。
NISA口座とつみたてNISA口座の併設は可能?
NISA制度とつみたてNISA制度、どちらも魅力的な制度なので、両方とも利用すればよいのでは?と思うこともあるでしょうが、両方の口座を同時に開設/利用することはできません。
年度途中でのNISA口座からつみたてNISA口座の切り替えは可能?
既にNISA口座を開設していて、年度途中につみたてNISA口座への切り替えはできません。よって、切り替えたい場合には、変更しようとする年の前年の10月から12月の間に、金融機関で変更の手続きを完了する必要がありますので、早めに手続きをすることをお勧めします。
手続きは、NISA口座の開設と同様、ネット証券では、申込手続きを依頼し、郵送されてくる書面に署名し、もしくは、捺印し、返送するようにしてください。
20年後、暴落したらどうなるの?
きっと投資をしたとき不安になるのは株価の暴落です。しかも20年という長期間投資してきて、ようやく、売却しようとしたときに暴落したら、それはもう悪夢でしかありません。
ですが、わたしは、それは大きな問題ではないと思っています。その理由は以下の通りです。
20年経過しても、売却しなくてもよい
よくある誤解として、つみたてNISAで20年経過したら、「すぐに売却しなければならない」というものです。
20年たっても、別に売却する必要はありません。つみたてNISA口座から、一般の口座に移るだけで、売却の必要はないのです。つまり、20年後暴落しても、相場がよくなるまで待てばよいだけなので、心配は不要です。
また、つみたてNISAの最終年2037年に購入した投資商品については、非課税期間の最終年は2057年となります。よって、初年度から20年経ったら、『20年積み立てた商品を一気に売らないと非課税のメリットを享受できないと』いうものではありません。時間をかけて、売却すればよいので、20年後暴落があったとしても、積み立てた商品の非課税期間も20年かけて、やってくるので、タイミングを図って売却すればよいだけです。
複利効果による資産増大の可能性
二つ目の理由は、複利効果による資産増大です。40万円投資した場合、20年後どうなっているでしょうか?
EXCELで(笑)で雑に計算したところ、控えめに年利3%で成長したとします。そうすると、20年後には、40万円が70万円を超える金額になっています。
これは、かなり控えめの計算です。S&P500インデックスファンドなどでは5%でも現実的な数字です。ここでは控えめに年利3%とします。
20年後、2020年に発生したコロナショックと同等の暴落があったとします。コロナショック時ではS&P500インデックスでは約34%の暴落がありました。
もし、その約70万円が34%の暴落に見舞われるとどうなるでしょうか?
34%の暴落を食らっても、まだ46万円程度となり、実は元本割れしていないのです。つまり20年保持すれば、20年後にコロナショックがあっても、元本割れしないのです。今回のコロナショックについてはすぐに相場は元に戻っているので、結果として大きな損失がなかったことも考えると、20年後の暴落を心配する必要はないのではないでしょうか。
まとめ
以下の理由などから、わたしは、(一般)NISAよりつみたてNISAが良いと考えています。
- 非課税期間が長い
- 投資マインドを養える
- 20年後の暴落の心配は不要
もし、(一般)NISAかつみたてNISAかで悩んでいる方がいらっしゃるようなら、わたしは、つみたてNISAをお勧めします。
長期・積立・分散は投資の基本です。
ちゃんと投資をすれば、老後の心配もなくなるのではないかと思っています。
2000万円は大変なようで、投資を利用すれば、可能な金額だと思います。つみたてNISA制度はそれを助けるよい制度だと思うので、ぜひ、ご活用くださいませ。